Provia / Standard
2002PROVIAは富士フイルムの標準であり、他のすべてが比較される基準です。彩度もコントラストも中庸で、肌の色をニュートラルに保ちます。派手さはありませんが、それが強みです。何を撮るか決まっていないとき、光が変わり続ける現場、あとから調整する余地を残したいとき、PROVIAは正直な出発点になります。多くのレシピがここから始まり、必要なぶんだけ足していきます。
カラー=普段使いにはリアラエース、街歩きや旅にはクラシッククローム、シネマ的な温かさにはクラシックネガ、風景の抜けにはVelvia。モノクロ=コントラストを強くするならAcros + R、肌を活かすならAcros + Ye。
Classic Negative emulates Superia: warm midtones, magenta-shadow cinematic look.
Nostalgic Neg., 琥珀色のハイライトと深い青。1970年代のアメリカ。
由来、得意な被写体、苦手な場面、初めて搭載された機種、そして出発点になるレシピ。すべてを1ページにまとめました。
PROVIAは富士フイルムの標準であり、他のすべてが比較される基準です。彩度もコントラストも中庸で、肌の色をニュートラルに保ちます。派手さはありませんが、それが強みです。何を撮るか決まっていないとき、光が変わり続ける現場、あとから調整する余地を残したいとき、PROVIAは正直な出発点になります。多くのレシピがここから始まり、必要なぶんだけ足していきます。
Velviaは彩度とコントラストを大きく引き上げ、緑と青をとくに深く描きます。銀塩のVelvia 50が風景写真家に愛されたのと同じ理由で、デジタルのVelviaも自然の色を強く見せます。曇天では画面に力を与え、晴天では行き過ぎることもあります。肌には向きませんが、風景と紅葉、青空にはこれ以上ないほど合います。
ASTIAはPROVIAより少しだけ彩度を上げつつ、肌の色をやわらかく保ちます。銀塩のASTIAがファッションとポートレートのために作られたのと同じ性格で、色に張りを持たせながら人の顔を硬くしません。自然光のポートレートで、平坦にはしたくないが派手にもしたくない、という場面にちょうど収まります。
クラシッククロームは彩度を抑え、赤を沈ませ、シャドウを深くします。往年の雑誌写真を思わせる落ち着いた色で、街と旅の記録によく合います。コダック系のフィルムを再現するレシピの多くがこれを土台にしているのは、肌をニュートラルに保ちながら全体を穏やかにまとめられるからです。富士を選ぶ理由として挙げられることの多い一本です。
PRO Neg. Stdは富士のシミュレーションの中で最もコントラストが低く、肌の色を正確に見せます。スタジオでライティングを組む撮影や、あとから丁寧に仕上げたい場合に向きます。そのままでは眠く見えますが、それは素材として優れているということでもあります。Portra 160を再現するレシピの土台としてもよく使われます。
PRO Neg. HiはPRO Neg. Stdにコントラストを足したもので、肌の色を保ったまま画面に芯を与えます。ロケでのポートレート、自然光の人物撮影に向き、ASTIAが彩度高く感じられるときの受け皿にもなります。X-Trans IV機でリアラエースが使えない場合の代替としても有力です。
クラシックネガはSuperiaをはじめとする民生用カラーネガをもとにしたシミュレーションです。シャドウが緑に寄り、青がくすみ、赤に独特の重さがあります。そのままで強い雰囲気が出るため、街、家族、旅の写真で人気があります。ニュートラルではありませんが、そこが選ばれる理由です。CineStill 800TやSuperiaを再現するレシピの土台にもなります。
ノスタルジックネガはハイライトを琥珀色に、シャドウを深い青に振り、1970年代のアメリカン・ニューカラーを思わせる色を作ります。X-Processor 5以降でのみ使えます。ゴールデンアワー、室内の暖かい光、少し懐かしさのある画面に向きます。ニュートラルではありませんが、狙ったときの効果は大きい一本です。
ETERNAは富士の映画用フィルムをもとにしたシミュレーションで、彩度とコントラストを大きく抑えます。ハイライトが粘り、シャドウが持ち上がるため、明暗差の大きい場面に強く、動画でもよく使われます。静止画でもそのまま使えますが、曇天では眠く見えるため、ハイライトとシャドウを少し上げるとまとまります。
ETERNAブリーチバイパスは、映画の銀残し処理を再現したシミュレーションです。彩度を大きく落としながらコントラストを強く上げるため、金属的で硬質な画面になります。工業的な風景、雨の街、緊張感のある場面に向きます。使いどころは限られますが、はまったときの強さは他にありません。
リアラエースは、色の忠実さと人物の見え方を両立させることを狙ったシミュレーションです。まわりの色には自然な張りを持たせながら、肌はやわらかく保ちます。X-Processor 5以降でのみ使えます。普段使いの一本としてPROVIAより表情があり、クラシッククロームより素直で、迷ったときによく効きます。
Acrosは富士フイルムのモノクロシミュレーションの中で最も完成度が高く、ISOに応じて粒子の描写が変わる点が特徴です。シャドウのトーンが豊かで、ハイライトが粘り、そのままで作品として成立します。Tri-XやHP5を再現するレシピの土台としても標準的に使われます。モノクロを撮るなら、まずここからです。
Acros + Rは赤フィルターを掛けた状態を再現し、青空を暗く沈ませ、肌を明るく見せます。コントラストが最も強く出る組み合わせで、雲のある空や建築に劇的な効果があります。肌のあらも強調されるため、ポートレートでは使いどころを選びます。
Acros + Yeは黄フィルターを掛けた状態で、空をわずかに締めつつ肌を自然に保ちます。Rほど劇的ではなく、フィルターなしより締まりがあり、モノクロの普段使いとして最も扱いやすい組み合わせです。ストリートでもポートレートでも破綻しません。
Acros + Gは緑フィルターを掛けた状態で、肌の赤みを暗く落とし、質感を強く見せます。人物の表情に力を持たせたいときや、緑の多い風景で葉を明るく見せたいときに効きます。使いどころは限られますが、狙って使えば独特の存在感があります。
モノクロは富士の基本的な白黒シミュレーションで、Acrosが登場する前から搭載されています。粒子の描写やシャドウのトーンではAcrosに及びませんが、X-Trans IやIIの機種で白黒を撮るなら唯一の選択肢です。旧機種向けのレシピはこれを土台に組み立てられます。
モノクロ + Rは、基本の白黒に赤フィルターを掛けた状態です。空を暗く沈ませ、コントラストを強めます。Acros + Rと狙いは同じですが、粒子とトーンの繊細さでは及びません。Acrosが使えない機種での代替になります。
モノクロ + Yeは、基本の白黒に黄フィルターを掛けた状態です。空をわずかに締めながら肌を自然に保ち、旧機種でのモノクロの標準として扱いやすい組み合わせです。Acros + Yeが使えない場合はこれを選んでください。
モノクロ + Gは、基本の白黒に緑フィルターを掛けた状態です。肌の赤みを落として質感を強く見せ、緑の葉を明るく描きます。Acros + Gと同じ狙いで、Acrosが使えない機種での選択肢になります。
セピアは画面全体を茶色に統一する仕上げで、古い写真を模した表現になります。調整の幅がほとんどないため、レシピの土台として使われることはまずありません。意図してレトロな見た目にしたい場合にのみ選んでください。モノクロにトーニングを加えたい場合は、白黒シミュレーションにWBシフトを組み合わせるほうが自由がききます。
どれがどんな役割だったか思い出せないときに、さっと見比べるための表です。
| シミュレーション | 彩度 | コントラスト | 肌 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| Provia / Standard | ●●●○○ | ●●●○○ | neutral | 迷ったときの標準 |
| Velvia / Vivid | ●●●●● | ●●●●○ | warm | 彩度の高い風景 |
| Astia / Soft | ●●●○○ | ●●○○○ | warm | 自然光のポートレート |
| Classic Chrome | ●●○○○ | ●●●○○ | neutral | 街と旅の記録 |
| PRO Neg. Std | ●●○○○ | ●○○○○ | neutral | スタジオでのポートレート |
| PRO Neg. Hi | ●●●○○ | ●●●○○ | neutral | 屋外のポートレート |
| Classic Negative | ●●●○○ | ●●●●○ | warm | 雰囲気のあるスナップ |
| Nostalgic Neg. | ●●●○○ | ●●●○○ | warm | 暖かく懐かしい色 |
| Eterna / Cinema | ●●○○○ | ●●○○○ | neutral | シネマ的でフラットな表現 |
| Eterna Bleach Bypass | ●○○○○ | ●●●●● | cool | 硬質でドラマチックな画面 |
| Reala Ace | ●●●○○ | ●●●○○ | neutral | 日常のすべて |
| Acros + R | ●○○○○ | ●●●●● | n/a | コントラストの強いモノクロ |
| Acros + Ye | ●○○○○ | ●●●●○ | n/a | モノクロの標準 |
| Acros + G | ●○○○○ | ●●●●○ | n/a | 質感のあるモノクロ |
上から順に読んで、当てはまる行で止まってください。
自然光の屋外ポートレートなら → まずASTIAかリアラエースから。
ASTIAの彩度が高すぎると感じるなら → PRO Neg. Hiへ。
肌にフィルムの粒子感がほしいなら → クラシックネガのReggie's Superia。
モノクロのストリートなら → 力強さならAcros + R、普段使いならAcros + Ye。
風景なら → 緑を活かすならVelvia、落ち着いた旅の色ならクラシッククロームのKodachrome 64レシピ。
シネマ調やゴールデンアワーなら → X-Trans IV / Vならクラシックネガ、X-Processor 5ならノスタルジックネガ。
X-Trans IV機でリアラエースを使いたい? 使えません。リアラエースはX-Processor 5専用です。PRO Neg. HiかASTIAをお使いください。
X-Trans IかIIなら → 使えるのはPROVIA、Velvia、ASTIA、PRO Neg. Std/Hi、モノクロのみです。その範囲でレシピを組み立ててください。
クラシッククロームは落ち着いた彩度と沈んだ赤で、ドキュメンタリーや旅の写真に向きます。クラシックネガはコントラストが強く、緑寄りのシャドウとくすんだ青を持ち、家族写真やシネマ的なストリートに向きます。肌をニュートラルに見せたいならクラシッククローム、雰囲気を出したいならクラシックネガです。
リアラエースは肌をやわらかく保ちながら、まわりの色に少し張りを持たせます。PRO Neg. Stdはさらにフラットで、ライティングを自分で組む撮影に向きます。自然光ならリアラエース、スタジオならPRO Neg. Stdをおすすめします。
クラシッククロームが最も近い土台で、ハイライトを下げ、暖色寄りのホワイトバランスシフトを組み合わせます。PRO Neg. Stdも近い肌の描写をしますが、コントラストは低めです。どちらもPortraの粒子の質感までは再現できません。
問題ありません。ETERNAは彩度とコントラストを抑えたフラットな表現で、強い光の場面や、あとから軽く調整したい場合に向きます。ただし曇天ではやや眠くなるため、ハイライトとシャドウを少し上げるとよいでしょう。
選べるならAcrosです。粒子の描写が繊細で、シャドウのトーンも豊かです。モノクロはX-Trans I / IIの機種でAcrosが使えない場合の選択肢になります。
いいえ。RAWにはタグとして記録されるだけで、データそのものは変わりません。撮影後にカメラ内現像やFUJIFILM X RAW Studioで、別のシミュレーションを当て直せます。